熱帯魚の飼育にエアーポンプは必要?という疑問は意外と多いのではないでしょうか。
実際のところ、無しで育成できる種もいれば必要な種もいますし、フィルターの種類にもよって変わります。
一言Yes/Noで答えるのはあまりにも適当です。
ということで、まずは条件付きで答えてみます。
- 生体メインで飼育してます。
- 過密水槽ではありません。
この上でエアーポンプによるエアレーションは必要?と聞かれたらなくても良いですが、あった方が良い。と答えます。
グッピーやメダカ、金魚などでも同じことが言えますがその理由は以下にあります。
溶存酸素がポイント
溶存酸素とは水中に溶け込んでいる酸素。熱帯魚はエラ呼吸で水中に溶け込む酸素を吸い込んでいます。
水中の酸素の生まれ方
水中の酸素は水と空気が接触する場所で生まれます。多くの溶存酸素は水面から酸素が溶け込んだものと考えられます。
なのでエアーポンプの力がなくとも、水槽の水は放っておけば勝手に酸素がまじりあいます。熱帯魚が生存できる酸素量くらいであれば手を加えなくても貯まります。
以上のことからエアーポンプはなくても熱帯魚の飼育は可能で、実際にエアレーションなしで飼育する方も多いです。
でも、そんな簡単でいいのかな?
実際のところ一言で解決するのは難しく、飼育の仕方は十人十色で環境の違いも大きいです。
溶剤酸素の生まれ方は基本としてまず覚えておいてほしいのですが、ここからもう少し深く考えてみましょう。
そう言えば条件をつけましたね?
- 生体メインで飼育する
- 過密水槽ではない
この条件が崩れる場合があるのであった方が良いと続けました。
エアーポンプの役割
私もむかし間違って認識してたのですが、エアーポンプから吐出されたエアー(ブクブク)そのものが水槽内の酸素を増やしてると思ってました。
この考え方は半分不正解。エアレーション(酸素を送り込む)の必要性を上記のようにイメージする方は少なくありません。
モス少し踏み込んでみましょう
エアレーション自体でも酸素はもちろん溶け込みますが、空気との接触面で1番大きいのは水面です。エアレーションのブクブクは水面を揺らし、面積を広げて空気との接触面をさらに広げます。
したがって溶存酸素を増やすことが可能になり、これがエアーポンプでエアレーションする最大のメリットになります。
エアレーションが必要な場合
水槽には溶存酸素が存在しますが、更にエアレーションが必要なケースは酸素が不足している、またはその可能性がある時です。
生体がメインではない時
今回は生体をメインと考えているので参考外ですが、水草は二酸化炭素と光と水で光合成を行い酸素を発生させます。が、それは日中のこと。
夜になれば水草は成長するために逆に酸素を吸収します。たくさんの水草を育てるのであれば夜間のみエアレーションをしなければ酸欠になる可能性と、水草の成長にも影響があります。
逆に昼間のエアレーションは二酸化炭素を逃がしやすく、うまく光合成できないケースにもなりえます。
過密水槽の恐れ
過密飼育は水槽内に生態を入れ過ぎて悲鳴をあげている状態です。熱帯魚をたくさん飼いたいという気持ちも分かりますし、繁殖させすぎたというケースもありますが、簡単に水質悪化に繋がるのでおすすめできません。
過密は様々な影響を与えます。
酸素不足
1匹と10匹とでは酸素の消費量は10倍違います。たくさんいれば酸素が減るので自然に発生する溶存酸素では足りなくなりエアレーションも必要となるでしょう。
水質悪化
餌の食べ残し、糞などの有機物も大量。
バクテリアによる分解も追い付かず水質は悪化する一方。病気に繋がり、手に負えなくなります。
水質悪化で溶存酸素量は減少します。
綺麗な水であればあるほど酸素の量も増えると考えて良し。それを維持するための頻繁な水替えは飼育者の負担にもなります。
過密飼育で良いことはありません。
夏場は更に危険
水温の上昇はバランスを崩します。
水中に溶け込む酸素の量は水温が高いほど減少します。また、溶け込む酸素には限界値があります(飽和溶存量)
夏場に水温が上がれば溶け込む量も飽和溶存量も減り、結果としては溶存酸素が減ります。
水温の上昇は酸欠を起こしやすいので、水温を下げることやエアレーションの必要性が出てきます。
エアレーションの効果
酸素不足を助けるエアレーションには他にもメリットがあります。
適度な水流を起こす
底部は酸素が少なく水面に近いほど酸素は多い。適度な水流は底部の酸素不足を解消してくれます。
底の水を上に押し上げる環境をつくることが理想的。
水面の油膜を撹拌
水面に油膜がたまりすぎると酸素が溶け込む邪魔をします。多少なりともブクブクの力で油膜を分散させることが可能。
好気性バクテリアの活性化
水槽を立ち上げてから1ヶ月もすると徐々にバクテリアが増え始めます。酸素を必要とする好気性バクテリアと酸素が嫌いな嫌気性バクテリアです。
両者はどちらも必要な存在ですが、有機物を分解する好気性バクテリアがいないと綺麗な水は保てません。酸素があることで働きが活性化されます。
エアーポンプによるエアレーションは実はメリットだらけ。結論としてなくても良い。でもあった方が良いと先に述べました。
エアレーションの設備
ここからは実践編。エアーポンプを使ったエアレーションですが、まずエアーポンプは騒音問題にならないように注意しましょう。
間違ったうるさいエアーポンプを使うと寝れないくらいうるさく、家族からクレームが入るかもしれません。
エアーポンプは断然静穏の水心がおすすめ。
エアストーンは水槽サイズや形状から好みの物を選び、きめ細かい泡の出るものが音が静かで酸素も溶け込みやすく、且つ綺麗に見えます。
投げ込み式ポンプ
フィルターで水質を維持しつつ、エアレーションも同時に行いたい場合には投げ込み式のポンプがおすすめです。
良く見かける定番の投げ込み式で、中のろ材は汚れると交換が必要になります。
簡単に洗うだけで繰り返し使えるスポンジフィルターはコスパが良いです。
テトラ (Tetra) ブリラントフィルター
アクアリウムのショップでも良く見かけるスポンジフィルターは、底部の水を吸水して水面から排水する仕組みです。
1個のエアーポンプから分岐すると、複数の水槽を管理できるので費用が安く済みます。スポンジフィルターのろ過力は侮れなく人気の商品です。
サテライトを連結させることも可能。
エアーポンプを必要としない「ろ過フィルター」
種類は様々ですが、下記タイプの外掛け式、上部式フィルターを使えばそもそもエアーポンプを使用しなくても酸素は生まれます。
外掛け式フィルター
テトラ・オートワンタッチフィルターは小型水槽向けのフィルターです。外掛け式代表の様な製品で、静穏に加えてメンテナンスのしやすさに優れてます。ろ過能力は低いため自分好みにアレンジする方も多いです。
外掛け式は酸素を巻き込みやすいので別途エアレーションは不要と考えて大丈夫です。
上部式フィルター
上部式はろ材がたくさん入るため濾過能力が高くなり、メンテナンスも容易で維持しやすいのが特徴です。
水槽の上にドンッと乗せる仕様なので圧迫感、見た目の問題、水槽自体のメンテナンスの妨げになるデメリットもあり。
*上部式も酸素を十分に含んでくれます。
外部式フィルター
完全に水槽外に設置される外部式フィルターの中でも圧倒的な人気を誇る、エーハイム2213。こちらは水槽60cm程度に適応しますが大きさも様々。
水槽周りはスッキリし、ぶっちぎりの静穏とろ過能力で評判ですが、その分価格もそこそこします。
外部フィルターは基本的に溶剤酸素を増やす仕様ではなく、水草水槽には必須です。工夫次第で酸素濃度を上げられますが、別途エアレーションと考えても良いでしょう。